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高松高等裁判所 昭和49年(行コ)1号 判決 1974年7月22日

松山市枝松町六丁目六一番地

控訴人

中村勲

右訴訟代理人弁護士

泉田一

佐伯善男

同市本町一丁目三番地四

被控訴人

松山税務署長

中村治郎

右指定代理人

高須要子

卓正

真鍋一市

土居鬼志雄

西条義秋

横山正之

右当事者間の所得税更正処分取消等請求控訴事件につき、当裁判所はつぎのとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は、「原判決を取消す。被控訴人が、昭和四三年七月一五日付で控訴人に対してなした、(1)控訴人の昭和三八年分所得税の課税所得金額金六五七万八〇〇〇円とする更正処分のうち金三九七万八七〇〇円を超える部分、及び、重加算税金三五万九一〇〇円とする賦課決定処分、(2)控訴人の昭和三九年度分所得税の課税所得金額金九三四万四〇〇〇円とする更正処分のうち金六六五万三〇〇〇円を超える部分、及び、過少申告加算税金一七万六三〇〇円とする賦課決定処分のうち金一〇万九〇〇〇円を超える部分、(3)控訴人の昭和四〇年度分所得税の課税所得金額金一二八九万八〇〇〇円とする更正処分、及び、過少申告加算税金二八万五八〇〇円とする賦課処分につき、高松国税局長の昭和四四年五月三〇日付裁決、並びに、被控訴人の昭和四五年九月三日付更正処分により一部取消された後、なお効力を維持する課税所得金額金七七〇万一〇〇〇円のうち金五九万九〇〇〇円を超える部分、並びに、過少申告加算税金一四万八七〇〇円のうち金二九〇〇円を超える部分、はいずれもこれを取消す。訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上法律上の主張、提出援用した証拠、認否は、つぎに付加訂正する外は、原判決事実提示(原判決添付別紙準備手続結果の要約記載)のとおりであるから、これを引用する。(但し、原判決二枚目表六行目に「写の」とあるを「その」と訂正する)

(控訴人の主張)

行政事件訴訟の出訴期間については、別に一年の除斥期間の定めがあるから、行政事件訴訟法一四条にいわゆる「処分又は裁決があつたことを知つた日から三箇月」という「知つてから」の意味については、これを厳格に解し、被処分者が実際に処分又は裁決を確知した時からと解すべきであり、右「知つた日」については、国民の出訴の権利を不当に妨げないよう解釈すべきで、本件では、可能な限り、控訴人に有利に解釈すべきである。なおまた、右出訴期間の三箇月、或は、一年の期間は決して長いものではないし、しかも、右出訴期間の規定は、国家が自ら援用するために定めた規定であるから、この点からいつても、右規定の解釈に当つては、国民の権利行使の不当な妨害とならぬよう出来るだけ控訴人に有利に判断さるべきである。

(被控訴人の主張)

右主張は争う。

(証拠)

控訴代理人は、当審における証人森元寛の証言及び控訴人本人尋問の結果を援用した。

理由

当裁判所も、控訴人の本件訴は、いずれも出訴期間経過後に提起された不適法なものと認定判断するものであつて、その理由は、つぎに訂正付加する外は、原判決理由に記載のとおりであるから、これを引用する。

原判決三枚目表九行目の冒頭に、「前記争いのない事実に、成立に争いのない乙第一、二号証」と挿入し、同四枚目裏三行目の「たが、同税理士は、」とある部分から、同五行目の「精通していたこと」とある部分までを削り、同所に、「同年六月六日原告方にその送達がなされたこと」と挿入し、同六枚目表四行目の「ことができるが、」とあるつぎに、「右甲第一号証並びに弁論の全趣旨によれば」と挿入し、同六行目の「ものである」とあるつぎに、「認められる」と挿入し、同七行目に「取消後」とあるを「取消前」と訂正する。

以上の認定に反する当審における証人森元寛の証言及び控訴人本人尋問の結果は、たやすく信用できない。

なお、控訴人は、行政事件訴訟法一四条にいわゆる「処分又は裁決があつたことを知つた日」については、国民の出訴の権利を不当に妨げ、その権利行使の不当な妨害とならぬように解釈すべきであつて、本件においても、右「知つた日」については、控訴人に有利に解釈し判断すべきであると主張するが、控訴人が本件各裁決のあつたことを知つた日につき、前記認定をまげて、控訴人主張の如く控訴人に有利に認定判断すべき法律上の事由はないから、右控訴人の主張は失当である。

してみれば、控訴人の本件訴を不適法として却下した原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、民訴法三八四条によりこれを棄却し、控訴費用につき同法九五条八九条を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 秋山正雄 裁判官 後藤勇 裁判官 磯部有宏)

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